【執筆者 澤井悦郎】
マンボウの肝臓は少なくとも江戸時代から利用され、特に肝油は様々な用途で使用されてきた。(※ここに記した文献はこちらの一覧から探して欲しい)
- 食べ物としての利用・・・原(1802)、栗本(1825)
- 油(灯油の代わり)としての利用・・・栗本(1825)
- 潤滑剤としての利用・・・Storer(1839)、黄・林(1994)、藤井(1999)、Silverstein&Silverstein(2003)
- 飲み薬(胃等に対して)としての利用・・・木村(1983)、藤井(1999)、川島(2002)、末広・木村(2007)
- 塗り薬(捻挫・打撲・切り傷等に対して)としての利用・・・Storer(1839)、辻本(1916)、中村(1996)、Silverstein&Silverstein(2003)
上記の伝統的な使用に対し、科学的視点からマンボウ肝油の成分を調査した論文や本も実際にあるが、数は多くないので、さらなる研究が求められる。
- 胃潰瘍に効果が期待できる・・・Akahori et al.(1990)
- ビタミンEがある・・・Hooper et al.(1973)
- 心臓病などへの効果が期待できる・・・秋久(2002)
最近では『海の癒し オーシャン・サンフィッシュ』、『マンボウハート』、『マンボウ肝油V』、『ハピネスマンボウサンQ』などのマンボウ肝油サプリメントが売られている。
これはマンボウ肝油にはDPA(ドコサペンタエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれているとのことからきている。
どういう用途で使用されるにしろ、マンボウ研究者として、伝統あるマンボウ肝油は持っておきたい。
ということで、マンボウ肝油の作り方が載っているサイト「マンボウが旅に出る理由」や「どくとるまんぼう.COM(株式会社みのり乃)」を参照して、実際に作ってみたので、その方法をここに記録しておく。
今回は偶然にもスーパーでマンボウの肝臓を入手できた。
マンボウの肝臓自体がすごく油が出るので、サラダ油などを引く必要はなく、ダイレクトにフライパンに入れて炒める。
すると油がドンドン出てくる。
この出てきた油を回収するのだが、火加減には注意が必要。強火で炒め続けた場合、失敗して真っ黒になった。
肝臓の肉の部分を取り除き、油だけにしたもの。強火は失敗したのでやらない方がいい。
再度チャレンジで、今度は火加減を弱くして炒めてみた。
するとイイ感じにできたので、油だけを回収して、瓶に詰める。
これでマンボウ肝油は完成。
冷蔵保存するのが良いらしいが、私は常温保存でどうなるのかを実験している。
炒めるよりも良い方法が見つかったので、ここに記しておく。
アルミホイルでお皿を作り、フライパンに少し水を入れ、蓋を閉めて加熱して水蒸気で蒸す(沸騰させればいいので、強火でもOK)。
この方法でやると、肝臓の組織に焦げ目が付かず、より純度の高いオレンジ色のマンボウ肝油が回収できた。
マンボウ肝油を実際に作ってみた時の動画はこちらで見られるので興味があれば参照して欲しい。
また、マンボウ肝油に関する情報や反応はにまとめたので、こちらも興味があれば参照して欲しい。
今回作ったマンボウ肝油は実は種が不明であるため、今後、明確に種同定されたものを使って、マンボウ肝油、ヤリマンボウ肝油、ウシマンボウ肝油と種ごとの肝油を作ってみたいと思う。
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更新履歴
- サイトデザイン一新に伴いリライトした(2023年6月27日)
- 関連記事にLab BLAINSに寄稿した肝油に関する記事を追加(2022年11月29日)
- 更新履歴の表示方法をアコーディオンボックスの仕様を変更(2021年6月27日)
作成日:2020年12月3日 更新日:2023年6月27日